韓国では儒教文化が根強く浸透しているため、日本にはないような礼儀作法やマナーが存在します。
特に年上に対する礼儀やマナーは日本よりも重んじている傾向があり、それらのマナーを軽んじてしまうと自分の印象を悪くするだけでなく、最悪の場合はトラブルにまで発展してしまうでしょう。
この記事では、渡韓する際に注意したい、NGマナーに関する情報を紹介します。
食事シーンや会話などの日常生活レベルから、ギフトやビジネスシーンなどの正式なシチュエーションまで、幅広い項目のNGマナーをまとめました。
韓国を楽しむにはマナーや礼儀作法を守ることは必要不可欠です。
初めて渡韓する人は、マナー違反を起こさないようにするためにも、ぜひ最後まで目を通してみてはいかがでしょうか。
食事で気を付けたいNGマナーとは?
ここでは、食事の際に注意したいNGマナーを7つ紹介します。
食事は私用、ビジネス目的関係なく、渡韓した際には誰しもが遭遇するシチュエーションであると言えるでしょう。
韓国は日本と同じく箸を使う文化でありながらも、食事に関するマナーや礼儀作法が日本と異なることも少なくありません。
日本ではマナー違反となる作法でも、韓国では正しいマナーになり得ることも多々ありますので、正しいマナーを把握することが重要です。
器は持ち上げない
韓国では、「器を持ち上げずに食事すること」が基本的なルールになります。
器を持って食べる方法は失礼にあたりますので、左手は器に添える程度に留めておきましょう。
食事を食べる際には、スプーンや箸で食べ物を口まで運ぶように心がけましょう。
また、スプーンや箸は食器の上に置くこともNGです。
使ったスプーンや箸は、テーブルの上に置くようにしましょう。
座る時はあぐらor立ち膝
座卓で食事する際には、男性はあぐら、女性は立て膝が正式な座り方になります。
韓国では座卓を使用するシチュエーションがまだまだ多いため、座卓に座る際には正式な座り方を把握しておくように心がけましょう。
年長者から食べ始める
グループで食事する際には、年長者が箸を持って食事を始めたのを確認してから、食べ物を食べ始めるように注意しましょう。
韓国では儒教が浸透しているため、年長者を敬う礼儀作法を重視しています。
食べ物を食べ終わるタイミングも年長者と合わせるように心がけましょう。
年下の人が先に食べ終わってしまうとマナーが悪いと見られることも多々あるので、注意が必要です。
取り箸は使わない
韓国では一つの料理を共有する際には、直箸で自分の分を取り分けることが基本です。
取り箸は使わないのはもちろん、逆さ箸で料理を取ることもないなど、日本の礼儀作法と異なりますので、注意しましょう。
大皿料理のときは各自が直接箸でつまみ、そのまま食事する形式になります。
鍋を食べるときも同様です。
韓国では大勢で食事することを重視しているため、大皿料理や鍋を各自が直接箸でつまむシチュエーションに遭遇することも珍しくないでしょう。
お酒を注ぐ時は左手を右腕に添える
お酒を注ぐ時には、左手を右腕に添えるようにしましょう。
お酒を右手に持ったら、左手を右腕に添えるのが正式なマナーです。
また、お酒を注ぐ順番も年長者からになるので、注意が必要です。
日本と同様、手酌はマナー違反となってしまうため、正式な場では控えるように心がけましょう。
お酒を飲むときは横を向く
年長者とお酒を飲む際には、年長者にお酒を飲んでいる姿が見えないように隠すのがマナーです。
年長者のいる方向に口元を見せないように心がけましょう。
お酒を飲む際には、顔を横に向けて口元を左手で隠しながら、お酒を楽しむと良いでしょう。
飲み干してからお酒を注ぐ
韓国でお酒を注ぐ際には、左手を右腕に添えるだけでなく、グラスを飲み干してから注ぐようにしましょう。
日本ではグラスのお酒がなくならないようにと、途中で注ぎ足すのがマナーとされていますが、韓国では完全に飲み干した後に注ぐことが正しいマナーとされています。
- また、食べ物を食べ終わった際にも、料理は一口分残すようにするのが正しいマナーとされています。
- お酒を注ぐ作法と同様、日本ではマナー違反とされる行為が韓国では正しいマナーになっている例になりますので、注意が必要です。
話すときに気を付けたいNGマナーとは?
ここでは、話すときに気を付けたいNGマナーを2つ紹介します。
韓国旅行に行き、ハングル語を学んで現地の人と話してみたいと考えている人も多いでしょう。
ただ、会話する際にはハングル語を正しく使えているのかだけでなく、会話する際のマナーも守れているのかを注意する必要があります。
現地の人と会話する際には、以下のNGマナーに注意して会話してみると良いでしょう。
初対面の人には敬語を使う
韓国で初対面の人と話す際には、敬語を使うように心がけましょう。
ハングル語は日本同様敬語があり、あまり親しくない人や年上の人には敬語で話す文化があります。
特に年上の人に敬語で話す文化は、日本と同様に重視されているので、年齢が分からない初対面の人には敬語を使うようにしましょう。
また、年下だからといって仲良くなっていないうちからため口で話すのも、マナー違反になります。
ハングル語を学ぶ際には、丁寧な表現に当たる「ハムニダ体」や「ヘヨ体」も学んでみると良いでしょう。
名前を呼ぶときに苗字だけで呼ばない
韓国で名前を呼ぶ際には、苗字だけで呼ばないように心がけましょう。
韓国には「キム」「パク」「イ」さんなどの苗字の方が多いので、あまり苗字だけで呼ばれる形式が浸透していません。
苗字だけで呼ぶと露骨に距離感を感じてしまう人もいるので、名前も合わせて呼ぶようにしましょう。
ビジネスで気を付けたいNGマナーとは?
ここでは、ビジネスで気を付けたいNGマナーを2つ紹介します。
ビジネスは礼儀作法やマナーをもっとも重んじるシチュエーションであり、作法やマナーを疎かにしてしまうと、自分だけでなく勤めている企業の印象も悪くなってしまうでしょう。
礼儀作法やマナーをきちんと行うことで、ビジネスを上手く構築できることもありますので、仕事で渡韓する人は、以下のNGマナーを把握しておくことをお勧めします。
挨拶するときは年上から
韓国のビジネスの場で挨拶する際には、必ず年上の人から挨拶するようにしましょう。
韓国では年齢によって言葉遣いや態度を変えなくてはならないため、初対面で年齢を聞かれることがあります。
そして地位や年齢が下の人が先に頭を下げるのがマナーになります。
- また、地位や年齢が下の人が握手する際には、年上の人や目上の人が手を出すまで待つようにしましょう。
- 握手は右手で行い、左手を右手の肘に軽く添え両手で行います。
呼び方に注意が必要
ビジネスの場で相手を呼ぶ際には、名前→役職→様(ニム)で呼ぶようにしましょう。
自分の会社の上司や親のことを話す際にも、敬語かつ名前→役職→様(親の場合は名前→様)で話すようにすることも重要です。
ビジネスの場での上司や親の呼び方のマナーが日本と異なるので注意しましょう。
交通機関で気を付けたいNGマナーとは?
ここでは、交通機関で気を付けたいNGマナーについて3つ紹介します。
韓国に旅行した際に、移動手段に地下鉄やタクシーを利用する人は多いです。
基本的なマナーは日本と同様ですが、韓国独自のルールやマナーもいくつか存在します。
公共機関は多くの人が使うものであるため、マナー違反をしてしまうと多くの人に迷惑が掛かってしまいます。
韓国で公共交通機関を利用する際には、以下のマナーを頭の隅に意識しておくと良いでしょう。
公共のバスでは飲食禁止
韓国では2018年より市内バス内での飲食は禁止されているため、公共のバスでは飲食厳禁です。
飲み物や食べ物を食べたい時は、必ずバスから降りて飲食するようにしましょう。
また、飲食物をバックに入れている際には、バスの中で中身がこぼれないように注意を払いましょう。
優先席には座らない
韓国の地下鉄では、日本と同じく高齢者や妊婦、障害者のための優先席が設けられています。
渡韓した際には、必要がない限り優先席に座らないようにすることをおすすめします。
韓国では年上を敬う文化が重要視されているため、優先席に対するルールが日本よりも徹底されている傾向が強いです。
日本と同じ感覚で優先席を利用してしまうと、マナー違反であると周りから見られてしまうので、緊急性がない場合は座らないように心がけましょう。
タクシーのドアは自分で空ける
韓国のタクシードアは基本的に自分で開け閉めするのが一般的です。
乗車時には自分でドアを開け、降車時にも自分で扉を閉めましょう。
なお、交通量が多い道路では後ろからバイクがすり抜けてくる可能性があります。
バイクとの接触事故を起こさない等に、ドアを開けるときは必ず前後を確認しましょう。
ギフトで気を付けたいNGマナーとは?
ここでは、韓国でギフトを渡す際に気を付けたいNGマナーを4つ紹介します。
親しい人や仕事でお世話になった人にプレゼントを渡す際に、縁起が悪いものを避けるのが一般的です。
ただ、国の文化によって縁起が悪いものが異なるため、プレゼントを選ぶ前に縁起が悪いものは何か把握しておくことは大切です。
韓国も例外ではなく、ギフトに向かない縁起が悪いものがいくつかあります。
韓国でギフトを贈る際には、以下のものは送らないようにすることをおすすめします。
ハンカチ・タオルは送らないようにする
韓国では、ハンカチの贈り物には「涙を拭くもの=別れ」という意味合いが込められているため、ギフトとして縁起が悪いものとされています。
加えて、「今後、涙を流すことがある」という不吉な意味合いも有しているため、ギフトの候補から外すことをおすすめします。
なお、日本でも上記の意味合いを有しているため、相手が縁起に重きを置いているかどうかで、判断してみると良いでしょう。
靴は選ばないようにする
韓国では、恋人間や夫婦間で靴を贈ることは縁起が悪いとされています。
靴を送ってしまうと、その靴を履いて「去ってしまう」「逃げてしまう」「違う相手に走ってしまう(浮気してしまう)」という意味合いがあります。
靴は別れを連想させてしまうため、ギフトで贈る際には相手との関係性を考慮してから贈るようにしましょう。
手紙で赤い文字は使わない
手紙やメッセージカードを贈り物に添える際には、赤い文字を使わないように注意しましょう。
韓国では、亡くなった方の名前を赤色で書く文化があります。
そのため、生きている相手へのお手紙に赤色の文字を使うことは縁起が悪いとされています。
加えて、赤文字で書くと相手を忌み嫌っているという意味にもなりますので、祝いの席やギフトで赤文字を使用することを避けるのが無難でしょう。
花の種類によってはギフトに適さないものがある
花の種類によっては、不吉な意味を持っていることがあるので注意が必要です。
韓国ではキリスト教信者が多いため、キリスト教上で不吉な意味合いを有している花を、ギフトに選ばないように意識しましょう。
例えば、ユリの花はキリスト教式の献花でも使用されるため、相手がキリスト教信者である場合はギフトとしてふさわしくありません。
韓国のマナーを理解して、適切なふるまいを心がけよう
この記事では、韓国のNGマナーに関する情報を紹介しました。
国によってマナーは様々であり、日本ではマナー違反だとされる行為が、他国では正しいマナーであることも少なくありません。
韓国は儒教の文化が色濃く残る国柄であるため、マナーや礼儀作法に関する考え方が他国よりも厳しい傾向があります。
そのため、日常生活やビジネスの場でマナー違反を犯してしまうと、今後の関係や自分の印象にデメリットが生じてしまう可能性が高いです。
現地の人と良好な関係を結ぶためにも、この記事で紹介したNGマナーをきちんと把握して、正しい礼儀作法を守るようにしましょう。