韓国へ入国するときの電子渡航許可(K-ETA)登録や、日本へ帰国するときのVisit Japan Web登録などのオンラインサービスが増えて、さまざまな渡航管理がデジタル化しています。
「韓国へ行く前に必要な手続きはあるの?」
「オンラインサービスは登録が面倒ではない?」
などと、渡航前の準備で不安に思うことはありませんか?
本記事では、韓国の電子渡航許可制度(K-ETA)と新しく導入されるE-Arrival カード、帰国時に使えるVisit Japan Webについて丁寧に解説します。
それぞれの注意事項についてもご説明しますので、ぜひ最後まで読んで旅行準備にお役立てください。
韓国の電子渡航許可制度(K-ETA)とは?
韓国へ観光・短期商用などの目的で無査証のまま入国する場合は、K-ETAという電子渡航許可制度による認証もしくは査証(ビザ)の準備が必要です。
このK-ETAを取得すれば、入国カードを書かずに入国できます。
K-ETAの申請方法
K-ETAの申請は、公式ウェブサイトまたはK-ETAのモバイルアプリから手続きできます。
審査に72時間以上かかることがあるので、登録する場合は出発の72時間以上前に行うことをおすすめします。
◯申請に必要なもの ・スマホかパソコン ・パスポート ・Eメールアドレス |
K-ETAの免除措置
現在2025年12月31日までの予定で、日本を含む対象国から入国する場合にK-ETAの登録免除措置がされています。
そのため日本人が韓国に入国するときは、K-ETAを取得するか紙の入国カードを記入して提出するか、どちらかを選べます。
K-ETAの申請には料金(10,000ウォン/約1,050円)がかかるため、K-ETAは登録せず入国カードを記入する方法で入国する人も多いです。
韓国の電子入国申告書(E-Arrivalカード)とは?
2025年2月24日から電子入国申告書(E-Arrivalカード)システムを正式に導入すると発表されました。
E-Arrivalカードとは、入国カードを提出しない代わりに同じ内容をオンラインで登録して提出する制度です。K-ETA免除措置が実施されている2025年12月までは、紙の入国カードも併用される予定です。
今まで通り紙に記入した入国カードで提出するか、E-Arrivalカードで提出するかは自由に選べます。
2026年以降はE-Arrivalカードのみとなる可能性もあるので、今のうちから慣れておくと良いかもしません。
E-Arrivalカードの注意点
E-Arrivalカードは、韓国へ入国する3日前から登録が可能となります。
ただ、E-Arrivalカードを申告してから72時間以内に入国しないと申請は無効になってしまいます。 無効になった場合は、再申請が必要です。 |
早く登録しすぎてもだめなので、注意してください。
日本のVisit Japan Webとは?
Visit Japan Webは、日本の入国審査(外国人入国記録)と税関申告(携帯品・別送品申告)をWebで行うことができる入国手続きオンラインサービスです。2022年11月に導入されました。
Visit Japan Webは海外から入国する外国人だけでなく、日本人が帰国するときにも利用できます。
2024年1月25日より、入国審査と税関申告の二次元コードが統一されました。これによって一つの二次元コードで両方の手続きが可能となっています。本記事では、日本人が帰国する場合のみを取り上げます。
日本人は日本への入国審査と検疫が通常は不要なため、利用するのは税関申告がメインです。Webサイトから事前に税関申告を登録して、日本到着後は電子申告端末にQRコードをかざすだけで申告手続きが完了します。
Visit Japan Webを利用することで、以前のように手書きで所定の用紙に記入して、列にならんで用紙を提出する必要がなくなりました。帰国時の手続きを早く済ませられるという、大きなメリットがあります。
Visit Japan Webの登録方法
Visit Japan Webの登録方法について、詳しくみていきましょう。
準備するもの
◯登録に必要なもの ①スマホかパソコン ②パスポート ③航空券 ④Eメールアドレス |
登録はスマートフォンでもパソコンでもできますが、実際空港で利用するときは登録したQRコードを提示するので、スマートフォンから登録するほうが良いでしょう。
- Visit Japan Webはアプリではなく、Webサイトから登録するので注意が必要です。
アプリは全て偽物で、中には料金を請求される悪質なものもあります。
必要なものをそろえて、デジタル庁のWebサイトから実際に登録していきます。
登録の手順
STEP 01
アカウントを作成してログインする
まずは新規アカウント登録をします。アカウント作成に必要なのはEメールアドレスと自分で考えたパスワードのみです。
「アカウント情報の入力」画面に、メールアドレスと作成したパスワードを入力してください。
入力したメールアドレスにリンクメールが届くので、そこに記載してある認証コードを入力すると、アカウントの作成が完了します。
STEP 02
本人情報を登録する
ログインページからログインして、本人情報を登録していきます。「本人の情報」という箇所がページ上部に出てくるので、必要項目を入力してください。
ここで、以下のパスポート情報が必要となります。
・パスポート番号
・パスポート記載の姓名
・国籍
・生年月日
・パスポート有効期限
なお、パスポートを手元に準備できていれば、スマートフォンのカメラで読み取って登録ができるので便利です。日本の連絡先情報の入力は任意です。
登録の際の注意事項
パスポート情報を入力する際、英文字入力はすべて大文字です。初めは小文字入力になっているので、そのままではなく大文字入力に変換してください。
パスポートを更新した場合は、パスポート番号が変わりますので新たに入力が必要です。うっかり古い情報のまま登録しないようにしましょう。
同伴家族の登録
本人情報は、原則1人ずつ登録が必要です。
自分で登録ができない乳幼児などの情報は「同伴家族」として最大10人まで同時に登録ができます。「同伴家族」とは、本人の直系家族のみ(兄弟姉妹、配偶者の父母は不可)です。
日本入国(帰国)の予定の登録
帰国便の情報入力が必要なため、航空券を準備して登録を進めてください。
登録する方法は、3つあります。
- 直接入力する
- 過去の登録内容から引用する
- ビザ情報から引用する
2回目以降に登録する場合は、過去の登録内容から引用すると簡単に入力できるのでおすすめです。
入力項目について説明します。
旅行名 | 任意ですが、行き先や日付を入れておくと他の予定と区別しやすいです。 |
---|---|
日本への到着予定日 | 現地出発日ではないので、時差がある国からの帰国予定日は注意してください。 |
搭乗航空会社名 | 2レターで選択します。 全日空→NH 日本航空→JL 航空券の便名に記載してあるので、参考にしてください。 共同運航便を利用する場合は、運航の航空会社を入力します。 |
便名 | 数字のみ |
日本での連絡先 | 住所の「町字、番地」はかなではなく、アルファベットで入力が必要です。 |
登録の際の注意事項
帰国時の便名は、間違っていても登録できてしまうのでしっかり確認して登録するようにしましょう。
登録を間違えた場合は、別で新しく「入国・帰国の予定を登録」から行ってください。
ログインパスワードの変更方法
帰国の予定の登録が完了したら、あとは実際に帰国したときに空港でQRコードを提示し、税関申告を行います。
その際に、ログインするためのパスワードを忘れてしまってページに入れない!というトラブルがあると焦ってしまいますよね。
そうならないよう、パスワードをどこかに控えておくか、QRコードをスクリーンショットで保管をしておくと便利です。
ログイン画面からパスワードを再設定することもできますので、その方法をご紹介します。
パスワード再設定の方法
- ログイン画面の下のほうにある「確認コード再発行/パスワードをお忘れの場合」をクリック。
- 登録したメールアドレスを入力すると、そのメールアドレスに確認コードが送られます。
- メールアドレスに届いた確認コードと、新しいパスワードを入力する画面になるので、そこに再設定したパスワードを入力します。
※パスワードは10文字以上、英大文字、英小文字、数字、記号を組み合わせてください。 - 確認用にもう一度新しいパスワードを入力します。
- 入力内容を確認して、「設定する」をクリック。
- 「パスワードを設定しました」と表示されれば、新しく設定したパスワードでログインができるようになります。
韓国出国の手続き
韓国出国と日本に帰国するときの手続きについて見ていきましょう。
韓国を出国するのに、他の国と特に変わった手続きはありません。
- 空港チェックイン
- 保安検査場にて手荷物検査、セキュリティチェック
- 出国審査(パスポートチェック)
- 出発30分前には出発ゲートへ
ソウル駅での事前出国審査
チェックインカウンターは混みあうことがあるので、フライト出発の2時間前には空港へ到着する必要があります。
ソウルの仁川空港を利用するフライトの場合、ソウル駅の都心空港ターミナルでチェックインと出国審査まで済ませられる「事前出国審査」という便利なサービスがあります。
空港に着いたら、専用の出国ゲートから出国するだけなので、時間を有効に使いたい人におすすめです。
事前出国審査の利用条件
①利用できるフライト
事前出国審査が利用できるのは、仁川国際空港ターミナル1またはターミナル2から同日に出発の国際線フライトです。
現在利用可能な航空会社は、韓国の航空会社とルフトハンザ航空です。
※この情報は随時変更になる場合があるので、詳細は事前に航空会社へ確認してください。
②ソウル駅から空港鉄道A’REX(エーレックス)直通列車の乗車が必須
出国審査へ進む前に、当日乗車券を購入してください。
その場で提示が必要です。
事前出国審査利用時の注意点
韓国国内線と金浦空港発の国際線では利用ができません。
また、搭乗手続きの締め切り時間は空港カウンターよりも早いので、以下の時間までに手続きを済ませる必要があります。
仁川空港第1ターミナル | 出発の3時間前まで |
---|---|
仁川空港第2ターミナル | 出発の3時間20分前まで |
ソウル駅で荷物を預けることができますが、そのあとに観光して機内持ち込みができないものを追加で購入しないようにしましょう。受託手荷物に超過料金が発生する場合は、空港の航空会社カウンターで支払いが必要になります。
韓国出国時の注意点
韓国出国時の注意点は、主に韓国から持ち帰る荷物の検疫についてです。
日本へ持ち帰りたい韓国のおみやげはたくさんありますよね。しかし、なかには日本へ持ち込みができない商品もあるので、せっかく購入したものが没収されてないよう注意が必要です。
〇日本へ持ち込みができない主なもの
①肉類(肉入りのキンパ、パウチの参鶏湯など)
生肉、未加工の肉製品は、食品衛生上の理由で日本へ持ち込み禁止です。
一部の缶詰や加熱処理された加工肉は、持ち込みできるものがあります。没収や罰則の対象とならないよう、不明なものは日本へ持ち帰らないほうが無難です。
②野菜、くだもの
生鮮野菜、くだものは病害虫の侵入リスクが理由で原則持ち込み禁止です。
缶詰や乾燥野菜、一部の加工品は持ち込みできるものがあります。持ち込む場合は検疫証明書を取得して、植物防疫所で検査を受ける必要があり少々面倒です。
③韓方薬
韓方薬は、漢方や生薬を使ってできているため医薬品医療機器等法の規制対象です。
個人のおみやげとして利用する場合も、検疫所へ申請が必要です。成分や効能について厳しくチェックされますので、どうしても持ち帰る必要がある場合だけにしましょう。
④韓国製造のCONVERSシューズ
CONVERSは「JAPAN」と「USA」でそれぞれ別の商標権があります。韓国もしくは他国で製造されたCONVERS(USA)は、日本国内では偽ブランド品として扱われてしまいます。
1足くらいの個人用として持ち帰るのは大丈夫ですが、何足も持っていると税関で怪しまれるので控えましょう。
⑤化粧品の大量購入
本場の韓国コスメが安く手に入るので、ついつい買いすぎてしまうかもしれません。1人で同じ商品を10点以上大量購入していると、商業目的を疑われる可能性があります。
たくさん購入し過ぎないよう注意してください。
〇機内の手荷物制限
・液体物の持ち込み(キムチ、コチュジャンなど)
キムチなど漬物類は、液体物として扱われます。
スーツケースへ入れて預けるのに抵抗があるかもしれませんが、機内に持ち込める量は限られています。しっかり密閉してスーツケースへ入れて持ち帰りましょう。
日本帰国の手続き
次に、日本到着後の帰国手続きについて解説します。
日本人は前に説明したVisit Japan Webを使えば、健康状態について異常があるかの項目を「はい」か「いいえ」で答えるだけで完了します。
検疫は必要ありませんので検疫エリアはそのまま通過して、入国審査へ進みます。
国内の主要な国際空港には、入国審査自動化ゲートが設置されているので、自動化ゲートでパスポートを読み取るとすぐに入国審査が済みます。
税関申告 携帯品・別送品申告の登録
携帯品・別送品に関する税関申告の登録は、Visit Japan Webからできます。
従来通り縦長の黄色い紙でも申告できますが、Visit Japan Webを登録した人はこちらを利用すると、手続きを早くできるのでおすすめです。
〇携帯品・別送品申告の登録方法〇
- ログイン後のホーム画面から、事前に登録した入国・帰国の予定を選び「携帯品・別送品申告の登録」をクリック
- 基本項目や日本の滞在先住所は、自動で反映されます。
- 申告内容を入力します。特に、タバコ、酒類、香水類を免税対象よりもたくさん持ち帰る場合は申告が必要です。
入国時の免税範囲については、税関をご参照ください。
日本到着時に行うこと
日本到着後、検疫エリアと入国審査を通過すると、受託手荷物の受け取りへと進みます。
手荷物受け取り(バッゲージクレーム)のすぐ近くに、税関申告のできる端末が設置されているので、そこで税関申告を済ませましょう。
携帯品・別送品申告から帰国まで
ここからは、携帯品・別送品申告から帰国までの流れをご説明します。
- 携帯品・別送品申告の登録が終わったら、QRコードを表示というボタンが出るのでクリックします。
- スマートフォンで表示したQRコードと、パスポートを端末にスキャンします。税関申告用の読み取り端末は、バッゲージクレームの近くにあります。
- 税関申告と荷物受け取りが終わったら、顔認証の専用レーンを通過します。マスクを外して通ってください。
帰国便の重なる時間帯や長期休暇などで、空港が混みあうときでもVisit Japan Webの事前登録とQRコードがあれば、スムーズに帰国手続きができます。
Visit Japan Webへの登録は必須ではありませんので、登録していなくても用紙に告知事項を記入すれば以前と同じように入国できます。
しかし、日本へ入国する外国人も増えているので、入国審査や税関申告の手続きに時間がかかる場合もあります。
帰国するのに待ちたくない、早く帰路につきたい人は、 Visit Japan Webを活用すればスムーズに手続きができます。
まとめ
本記事では、韓国に入国するときの必要な手続きから帰国するときの出国審査、日本へ入国するときの手続きまでをまとめて解説しました。
韓国の電子渡航許可K-ETAは、2025年12月31日まで登録しなくても入国可能です。K-ETAを登録せず入国カードを提出する場合、E-Arrivalカードのサービスが導入されました。
日本へ帰国するときのVisit Japan Web登録も、必須ではありません。
いずれのサービスもスマートフォンとEメールアドレスがあれば、誰でも簡単に登録できます。
オンライン手続きは、分かりにくいと思う人が多いかもしれませんが、実は手順に従って登録するだけです。
海外旅行へ行く予定の人は、ぜひ事前に確認してみてはいかがでしょうか。